十九世紀になるまで身分制度が厳しかったフランスでは、卸したての新しい服を着られるのは一部の上流貴族や王族が殆どでした。
ですが、それも革命が起こり、身分制度が取り払われた後になると、衣服の身分規制がなくなり、誰もが新しい服を着られるようになりました。
しかし、そうなると大変なのが服を作る人々です。
今のように機会があるなら別ですが、当時は人の手による作業が大変でした。
そこで人々の「新しい服」への要望に答えるべき仕立て屋が考案したのが「既製服」です。
これは平均的な体格を想定して作った型紙から同じ服が何枚も作れるので、わざわざ採寸する必要もなく手間と時間が大幅に削減できる様になったのです。
そのため、当時の仕立て屋では人気のある服の型紙は「企業秘密」の様な扱いでした。
これは十九世紀のフランスの話ですが、ここで誕生した「既製服」の考え方は画期的で、今まで個人を相手にしていた服飾店が今までより安くて便利な大衆向け商品を売れる様になったのです。
この「既製服」は出来た当初は大量に作る為に考えられた服なので、材質は安く手に入る物ばかりで「質の悪い服」の代名詞でもありました。
しかし、今では素材とデザインに機能性の向上によって「既製服」は安くて手軽に変える服として色々な人に親しまれています。